急な思いつきで合同会社を設立しました。
目次
なぜ作ったか
法人を作る理由といえば人を雇って事業規模を拡大するためか、節税目的が多いでしょう。
僕はそのどちらでもなく個人で出したアプリでAppStoreの開発者名に実名を書かれるのがイヤだからです。
この画像でいうとアプリ名の下に「Apple」と書かれている部分に実名が出てしまいます。
ちなみにここは個人事業主でも屋号表記にすることができますが、次の画像の「Seller」に「iTunes K.K.」と書かれている部分は強制的に個人名になります。
過去作は「実名といってもローマ字表記だしまあいいか」と気にせずリリースしていました。
最近はGoogle上でローマ字表記の検索をしても僕の情報にたどり着いてしまうし、会社を通してメディアにも出ているのでちょっと心配になってきています。
僕自身が困るというよりは僕のブログやYoutubeなどを元に「○○社の人がこんなこと言ってるよ」みたいな拡大解釈をされると会社に迷惑がかかるかもしれない。そのようなリスクに備えています。
過去にリリースしたアプリを紹介していないのもそれが理由です。
(2024年8月追記)この記事を書いてから3年経ったいま、最近は自社への信頼を高めることを優先したいと考えてコーポレートサイトへ普通に実名も書いています。勤務先とのトラブルを避けるための最低限の配慮はしていますが、最悪トラブルになったとしても法人で取り組んでいることを優先したいという考えになりました。
個人情報は誰でも取得可能に
ちなみに法人を作るとむしろ個人情報を隠すことは不可能になります。
法人の登記情報は300円で誰でも取得できます。そこに実名はもちろん、社長の住所も書かれています。
プライバシーも何もあったもんじゃないのですが、これは訴訟から逃げられないようにするための必要措置みたいなので仕方ないですね。
わざわざお金を払って登記情報まで取得する人は稀でしょうから、少なくともAppStore上に名前が載らなければいいかな〜と思っている次第です。
実名バレはドメインも注意
各種アカウントを個人から法人に移行するにあたって気づいたこととして、ドメインのWhois情報(サイトの運営者が誰か?を示す情報)で実名オープン状態になっていました。
Whois情報はいろんなWebサービスで取得することができ、例えばここで検索できます。
Whois公開代行サービスを利用するとドメイン取得サービスの会社が代わりにWhois情報に載ってくれるのですがjpドメインに限り罠が。
運営者名だけは、アカウントに登録した名前がそのまま載せられてしまうんですね。詳細はこちらの記事で解説されています。
よく使われるcomなどのドメインでは起きない問題ですが、これにはショック。せっかく気をつけてたのに…。
さすがにWhois情報をわざわざ検索する人は珍しいと思いますが、jpドメインを使っている方はお気をつけ下さい。
法人を作ったおかげでここは法人名で公開しなおすだけで済みましたので、すんなり解決しました。
ちなみに法人だからといってドメインを「co.jp」にする必要はなく、どんなドメインでもOKです。このブログのドメイン「amagamina.jp」をそのまま法人の公式Webサイトにも使っています。
もともと作る予定ではありました
さすがに実名を載せたくないという理由だけで作ったわけではなく、もともと2〜3年後には作る予定でした。
正社員からフリーランスに移行する予定なので、その時に法人を作るとメリットがあるからです。
マイクロ法人
個人事業主としてのフリーランスを本業として、法人で小規模な副業、もしくは資産運用などをするマイクロ法人と呼ばれているものです。
詳細は『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』で解説されています。
個人のみだと収入に応じて国民健康保険料が容赦なく増えていきますが、法人で社会保険に加入すると国民健康保険から外れるので保険料を大幅に抑えられます。
しかも社会保険に加入することによって、各種保障は手厚くなります。
具体的な計算を解説している記事としては、このあたりがわかりやすいと思います。
いざフリーランスに移行した時に個人事業主としての開業、法人設立を同時に進めるのはなかなかハードそうなので先にマイクロ法人を作ることができて結果的に良かったのではないかなと思っています。
同じ事業内容だと法人と個人で分けることはできません。例えば「A社からの受託開発は法人で、B社からの受託開発は個人で」と分けるのはNGです。「ブログは法人、受託は個人で」と2つ以上の事業を持っている場合にマイクロ法人は有効です。
合同会社とは
株式会社ならよく聞くけど、合同会社って何?と思った人も多いでしょう。
主な特徴はこんな感じです。
- 設立費用が安い(株式会社は20万円〜、合同会社は6万円〜)
- 上場できない
- 出資者全員が対等な議決権を持つ(株式会社は株式の保有数による)
家族経営の場合とか、上場を目指さない場合、先ほど触れたマイクロ法人に向いています。
小規模な会社にとっては株式の概念があるかないかの違いくらいで、ほとんど変わりません。
信用の問題でコストをかけてでも株式会社にするメリットはあるのですが、僕にとってはAppStoreに法人名を載せられれば目的を達成できるので合同会社がうってつけだったわけですね。
信用の必要性については、法人の銀行口座を作ろうとしたらお断りされて痛感しました(泣)別の銀行では申請書類を気合入れて作ったら開設できました。
ちなみに後から株式会社に変更することも可能なので、最初はあまり迷わず合同会社にするケースが増えているみたいです。
設立は意外と簡単
手続き系はMFクラウド会社設立で
設立は『MF(マネーフォワード)クラウド会社設立』を使ったら簡単にできました。
最初はすべて自力でやろうかと考えていたのですが、むしろこのサービスを使うことで行政書士が「定款」を紙ではなく電子で作ってくれるためコストが抑えられてラッキーでした。
紙だと4万円の印紙税がかかり、電子で作るには専用ソフトが必要なので結局コストが上回ってしまします。いずれにせよ定款だけは行政書士へ電子定款の作成を依頼するのが無難です。
あと印鑑もついでに安めの価格で作ってくれました。同じようなサービスはfreeeや弥生会計からも出ているので、好きなものを使えばいいと思います。
僕がMFクラウド会社設立を使ったのは、会計ソフトにもMFクラウド会計を使おうと思っていたことが理由です。MFクラウド会社設立を使うと各種割引を受けることができました。
まともな売上がない以上はコストの問題で税理士に頼るわけにもいかないので、今のところMFクラウド会社設立で行政書士とメールを数通やりとりした以外は自力で対応しています。
現在はデジタル庁が法人設立の手続きをオンラインでできるようにしてくれていますね。使ったことはないので使い勝手のほどはわからないですが…。
Webサイト作成
法人用のWebサイトは、簡単なもので問題ないと思いますが信用の観点から一応あった方がよさそうです。
僕はWordPressに慣れているのでブログに近い形式でサクッと作りましたが、ペライチとかでも良さそうです。
ロゴ作成
ロゴはとりあえずShopifyが運営している『Hatchful』で自動生成したものを使いました。無料です。
みんながコレを使ったら自然と被りが多発しそうですが、今のところはそんなに見かけないのでしばらくは気にせず使おうと思います。
ちゃんとしたロゴを作るのは主力サービスを生み出せた時や、本格的に運用が必要になってきたらで良いかなと思っています。
育休との相性も良い
僕は現在育休中ですが、育休制度の仕組みと法人の相性も良いです。詳しくはこちらの記事で解説しました。
副業禁止への対策としても
副業バレを防ぐために法人を作るのも有効です。ちなみに僕の勤め先も副業禁止です(正確には申告制。副業と言えるほど収入もないので申告はまだしてません)。
副業バレの主な理由は2つあります。
1つは他社から給料を受け取るケースで、これは社会保険料が増えるのでバレます。
もう1つは給料として受け取らないような収入でも、確定申告によって住民税が増えてバレるケースです。
そこで法人から受け取る役員報酬をゼロにしておけば社会保険料も住民税も増えることはないのでバレないのです。
住民税を自分で納付する「普通徴収」を選べばバレないと言われますが、役所の人が間違えるケースもあるみたいなので安心はできません。自治体によっては普通徴収に対応していないこともあるようです。
ただし最終的には法人からお金を取り出さないと意味がありませんから、ずっと副業禁止の会社に勤め続けてしまうと取り出すタイミングに困ります。
いずれ副業可能な会社へ転職、もしくは独立を考えているケースで有効な手段になるでしょう。
家族を役員にできる場合は、家族へ役員報酬を設定するのが良いでしょう。
法人の業務に一切関わっていない家族へ役員報酬を設定しても、経費として認められない点には注意です。
ちなみに法人を作ったことも僕みたいに自分から公言しない限りはバレません。
まとめ
以上とりあえず作ってみた。の流れを簡単に解説しました。これから1年後には決算&税の申告で大変な思いをすることになりそうですが、ひとまずここまではなんとかなりました。
会社を作ることでメリットを享受できる人はほとんどいないと思いますが、この記事が何かの参考になれば幸いです。